○王寺町手話言語条例

令和2年9月17日

条例第29号

手話は、音声言語である日本語とは異なる言語であり、手指や体の動き、表情を使い独自の語彙と文法体系をもって視覚的に表現する言語です。ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要不可欠な手段として手話を大切に育んできました。

しかしながら、これまで手話が言語として認められず、使用できる環境が整えられてこなかったことなどから、ろう者は、多くの不便や不安を感じながら生活してきました。

このような状況を踏まえ、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約や平成23年に改正された障害者基本法(昭和45年法律第84号)において、手話は言語として位置付けられたため、手話に対する理解を深め、手話を使用しやすい環境を整備していくことが求められています。

手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解と広がりをもって地域で支え合い、手話を使って安心して暮らすことができる王寺町を目指し、この条例を制定するものです。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解の促進及び手話の普及並びに地域において手話を使用しやすい環境の構築に関し、基本理念を定め、町の責務並びに町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、もって全ての町民が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 手話への理解の促進及び手話の普及は、手話が独自の言語体系及び歴史的背景を持つ文化的所産であることを理解し、手話を必要とする人が手話という言語により意思疎通を円滑に図る権利を有するという基本的な認識の下で行われなければならない。

(町の責務)

第3条 町は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、町民の手話に対する理解を深め、ろう者があらゆる場面で手話による意思疎通ができ、手話を使用しやすい環境となるよう、手話に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

(町民の役割)

第4条 町民は、基本理念にのっとり、手話への理解を深め、町が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、手話への理解を深め、町が推進する施策に協力するとともに、手話を必要とする人が利用しやすいサービスの提供及び手話を必要とする人が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(観光旅行者その他の滞在者への対応)

第6条 町は、手話を必要とする観光旅行者その他の滞在者が安心して滞在することができるための必要な施策を実施するよう努めるものとする。

(災害時の対応)

第7条 町は、災害時において、手話を必要とする人に対し、情報の取得及び意思疎通の支援について必要な措置を講ずるものとする。

(学校等における理解の促進)

第8条 町は、学校等において、幼児、児童及び生徒に対し、手話に接する機会及びろう者への理解を促進する機会を提供するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第9条 町は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

(1) 手話を理解するための機会の提供に関する施策

(2) 手話の普及及び啓発に関する施策

(3) 手話により意思の疎通ができる環境の整備に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、町長が必要と認める施策

(財政上の措置)

第10条 町は、手話に関する施策を積極的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

王寺町手話言語条例

令和2年9月17日 条例第29号

(令和2年9月17日施行)